仔猫を保護したらまずすべきこと

DSC_0017

道や公園を歩いていたら捨てられた仔猫と遭遇。猫を飼ったこともないし、飼える環境でもないからと見過ごさずに保護していただいた方へ、保護してからこれだけは注意しておきたいポイントを紹介します。
※あくまでも経験に基づいた情報ですので今後加筆や削除など内容が変更となる場合がありますがご容赦ください

これで予後が全く変わる重要なポイント

何はさておき保温しましょう

猫が産まれるのはこれから暖かくなる寒い時期(冬)とこれから寒くなる暖かい時期(晩秋)が多いです。そして遺棄されることが多いのは生後月齢が1.5~2か月の離乳直後か離乳寸前の仔がほとんど。

仔猫は親猫と比べて体温調節が自分ではしにくいですし、親猫のように自由に動き回って快適な場所を見つけることもできません。それが突然置き去りにされた知らない場所ならなおさらです。

そして、体温の乱高下によって保護したときには一見元気そうに見えても後々体調を崩すことが少なくありません。仔猫を保護したら時期に関係なくまずは体が濡れていたら乾かす、不要な毛布などを厚めに敷いて保温するようにしましょう。このとき、急激に温めると逆効果ということがありますから、ペットヒーターなど継続的に保温できる器具がある場合を除いて空調設備の前などではなく、自身の熱が逃げないようにしてあげることが大切です。

また、その場所で眠ることで自分の匂いがついて安心してきますから、なるべく使い続けることのできるもので保温してあげるようにすると早く落ち着いてくれます。

DSC_1046

落ち着ける環境に移してあげましょう

「大丈夫かなぁ」と触ったり見たりしてあげたいのは山々ですが、ここはグッと我慢して落ち着ける場所で管理してあげましょう。猫は人間と違って月明り程度の明るさでも十分に周りを見て認識することができます。少し光が入る程度の明るさで、人の出入りが少ない場所を選ぶようにしましょう。ゲージがあれば申し分ないですが、ない場合は万が一の脱走を防ぐためティッシュの配送に使われるような大き目の段ボールを使います。

また、その中に小さな段ボールに猫が通れる程度の穴を空けた「段ボールハウス(段ボールのおうち)を入れてあげるとより効果的です。
DSC_0008

エサや水は落ち着いてから

ずっと外にいたのだからお腹が空いているだろう、喉が渇いているだろうと思われるかもしれませんが、猫ちゃんはとにかく知らない場所からまた知らない場所に移されて相当恐怖を感じています。そして体温の上下によって消化器官も弱っています。

この状態でエサや水を与えると、全く食べない、もしくは本能として「あるうちに食べておかなきゃ」と感じて大量に食べてしまうことがあります。

立ち上がれない程弱っている場合を除いて保護してから少なくとも1~2時間は何も与えないようにします。環境に慣れてもらうこととゆっくり寝かせてあげることに専念してください。落ち着くまでの間に適切なエサを買いに行くなどとにかく1匹で寝かせてあげるようにしてください。
買っておいたほうがいいエサ(フード)と用具は

  • 仔猫用のパウチ型フード
  • 猫用のミルク(粉ではなくパックのもの)
  • 仔猫用のドライフード
  • トイレ砂とトイレにできそうな器

です。月齢の判別ができる場合を除いてこの3つを少量ずつ用意するようにします。その際に特に嗜好性の高いものではなく、今後継続して食べさせることができるようなものにしておくと贅沢な仔になりません。

ミルクを哺乳器で飲む程小さな仔が遺棄されることは少ないですが、明らかに歯が生えていないような仔の場合には哺乳器と粉ミルクが必要になるかもしれません。ただ、哺乳器が必要な時期は数日~1週間程度ですから一旦ウェットフードやミルクを自発的に摂れるかどうかを見た上で判断してもいいと思います。

できるだけ手を入れて恐怖を与えないようにしたいですから、早いうちにトイレ(体1つから2つ入る程度の器、段ボールでも可)にトイレ砂を入れて設置してあげましょう。トイレ砂は紙砂よりも燃やせるタイプの固形の砂(鉱物と木などが混ざったもの)の方が便利です。

保護した猫ちゃんたちに使う猫のトイレ砂。メーカー品やにゃんとも○○だったら間違いはないのかもしれませんが、そんなにコストをかけられな!という...

落ち着いてから行うポイント

冷たい・熱いものは避けてエサと水をこまめに与える

眠った後には母猫や兄弟を呼ぶため、恐怖のために大きな声で鳴く仔が多いです。中には除いただけで「シャーっ」と威嚇してくる仔もいます。無理に抱いたりせず、少量を置いてそのまましばらく放置してから様子を見るという感じにしましょう。月齢が分からない場合にはミルクと仔猫用のウェットフードを与え、どちらがいいのかは猫に聞くのが一番ですから食べたい(飲みたい)ものをまず与えます。

このときフードもミルクも冷たかったり熱かったりしないよう、人肌よりもすこし冷たい程度にしてあげるようにしましょう。

一度にたくさん与えてしまうと、前述したようにあるだけ食べてしまったりすることで消化不良や誤嚥を起こす可能性がありますから、少量与えて様子を見ます。これを何回か繰り返すうちに早い仔では当日から「エサが欲しい」とこちらの顔を見て鳴いたり寄ってきたりしてくれるようになります。

自然に触れるようになったら

少し人にも慣れてきて自然に触れるようになったらお腹の固さを見てエサの量と時間を決めるようにしましょう。

仔猫は「食べる」→「出す」→「暴れる」→「寝る」の繰り返しですから、食べた後排泄するかも確認するようにしてください。

少し遊んであげて仔猫ちゃんの恐怖心をなくしてあげましょう。

トイレトレーニングは犬と違って簡単です。粗相してしまった排泄物をトイレ砂の上に置いておくだけで早い仔なら1回、遅い仔でも数回で「ここはトイレね!」と覚えてくれるようになります。

全身状態を診ましょう

獣医さんでも分からないことがある位仔猫の体調は判断しにくいものですが、見れる範囲で重篤な症状がないかを判断しましょう。
こんな状態ならすぐに動物病院へ行くべき

  • 保護してから全く食欲がない
  • 保護してから全く排便・排尿がない
  • 排便が柔らかい、白っぽい
  • 尿の色が異常に濃い
  • 立ち上がれない
  • 目ヤニ(白や黄色)のものが出て、拭いてもすぐに目がふさがってしまう位のとき

こんな状態なら様子を見てから動物病院、もしくは自然治癒を待ってみてもいい症状

  • たくさん涙を流す
  • どこかを触ると痛がる
  • 便の状態がバラバラ(固かったり軟便だったりの繰り返し)
  • エサの匂いに対する反応が薄い

中には保護して数日後急に体調を崩したり、動物病院へ行くことがストレスになる仔もいますから、重篤と思われる症状でない場合には環境に慣らすことを優先した方がいいと思います。

外で自由に遊ばせる前に

トイレも覚えたし、よく慣れてきたからそろそろ部屋を自由に・・・の前に行っておいた方がいいことがありますのでいくつかご紹介します。

ノミ・ダニの駆虫

です。少なくとも外にいた訳ですから、ダニがついている可能性もあります。また、母猫と同居している間にノミが移っている可能性もあります。遺棄されてしまうような環境で育てられた仔ですからノミは100%いると思った方が無難です。ノミがいるかどうかは毛を少しかき分けた時に黒いツブツブがあるかどうか(これがノミのフンです)で分かります。

猫につくネコノミは人間に寄生することはありません。が、猫を抱いているときや足元にいるときなど接触している場所で噛むことがあります。また、駆虫したノミが再び猫につかないようになるべく行動範囲が狭いうちに対処しておくことをお勧めします。

ノミの駆虫は通常スポットタイプの駆虫薬を使いますが、市販のものではあまり効果がないので動物病院でということになります。が、ストレス回避のためにもなるべく環境は変化させたくありません。そんなときに役立つのが「ノミ取り櫛」です。撫でる代わりにこの櫛を使ってブラッシングしてあげることでノミの成虫やフンを退治することができます。

ノミを取るときは洗面器などに水と少量の中性洗剤を入れたもの、櫛を拭くための小さなタオルなどを用意します。ブラッシングしたら都度この洗面器の水で洗い、タオルで拭くという作業を繰り返します。取れたノミの成虫は水と中性洗剤で退治できます。

※ただし、ノミは一定のサイクルで「卵」→「幼虫」→「成虫」となりどんどん増えていきますので、1匹成虫がいたら50匹程度は卵があるものと考えたほうがよさそうです。フロントラインなど動物病院で処方される薬で卵も退治できると聞きますが、実際には再発することがほとんどです。

危険なものの撤去

まさかこんなところに??と思うような高い場所や、こんな狭いところに??と思うような場所でも猫は頭が通ってしまえば簡単に入っていってしまいます。できる限り危険と思える物は撤去しておくようにしましょう。何かを壊されたりしたからといって叱るとそれが恐怖につながることがありますから、難しいですが「広い心」で対処するようにしましょう。

電源コードなども齧られてトラブルになることがありますから、何気なく使っている延長コードなどにも注意しましょう

それから、猫にとって害のある食べ物

室内飼育されている飼い猫はもちろん、いつもお腹を空かせている野良猫ちゃんや地域猫ちゃんたちは何でも食べてしまいます。いろいろな人がエサをあげる機会が多いからこそ「食べさせてはいけない」食物を知って長く健康に過ごせるようにしてあげましょう。

や、害のある植物

家の中に鉢植えがあったり、猫ちゃんの行く場所で家庭菜園や植木をしたりする機会は少なくないと思います。ここでは猫ちゃんが食べたり触れたりすると猫ちゃんに少なからず影響のある植物を「観葉植物」「植木や草花」「野菜など」に分けて紹介します。

もありますからこれらの確認もするようにしてください

急に夜行性に戻る

元来猫は夜行性の動物です。行動範囲が広くなることで、この習性が復活する(夜中に暴れたり、遠吠えのように鳴いたりする)ことがありますからそうなっても大丈夫な部屋や場所を限定するようにしましょう。

さいごに

別の記事でも書いていますが、こうして助けた命には必ず情が移ります。この後の選択として

  • 里親を募集して新しい飼い主のところへ
  • 愛護センターに持ち込み里親募集をしてもらう
  • 自分で飼育する
  • 避妊去勢などの不妊手術を行った上で地域猫として外で暮らしてもらう

のいずれかになりますが、保護して数日のうちにどの方向にするのかを決め、それに向かって進んでいった方が精神的に軽くなると思います。そして、方向性が決まっていれば取るべき行動もはっきりしますし、里親を募集する文言なども見合ったものが自然に作れると思います。


ページ先頭へ